お金に困窮していた私への啓示

村上さんの何かの文章で、お金が無いのにどうしても二万円を早急に支払わねばならなかった時に、路上に漂う二枚の一万円札を見つけて拾い、それを支払いに充てた……という出来事を書いておられたのを記憶しております。
実は私も数回にわたって同じ様な体験をしております。お金に困って悩んでいる時に路上を歩いていて、ふと眼を足元に向けると、ひらひらと舞う裸のお札が現れるのです。但し、最高金額は五千円札一枚ですが。
財布を拾うと、どうしても落とし主の途方に暮れた様子が思い浮かべられるので、良心が痛みそれを交番に届けなければいけないとの気持ちが勝ってしまいますが、裸のお札はそれ自体が「どうか私をあなたの幸福の為に有効に使ってください」と語りかけてくるような気がして、その啓示に従わさしてもらいました。
勿論これは違法な行為であります。ですが、実際の話そのお札の元の持ち主を探し出す事はほぼ不可能であり、交番に届けた所で落とし主不明としてある程度の期間を経た時点で私のものとなる事は確実なのであります。なので、私的にその煩雑な手続きを省略したのです。
と、いうことで何が言いたいのかと申しますと、これが村上さんと何の才能も特技も無い私の唯一の共通点であると……。つまらない話を書いて申し訳ありませんでした。
(西の墓守り、男性、57歳、勤め人)

そうですか。あなたはきっとそういう運命を背負った方なのでしょう。ついお金を拾ってしまう。でもそれとは逆に「お金をつい落としてしまう」運命を背負った方もきっといらっしゃるのでしょうね。人生は不可思議です。

うちの奥さんは「公衆電話に入って受話器を置いたら、小銭がじゃらじゃらと山ほど落ちてきた」という経験を何度もしていました。まるでラスベガスみたいですね。僕なんかそんな目にあったこと一度もないんだけど。

村上春樹拝