疑り深い文学研究者なもので

村上春樹さま。デビュー以来の愛読者(おっかけ)です。そのおかげさまで(?)文学研究を生業にできるようになっていました(今はセミリタイアです)。しかしさらにそのおかげで、どうも読んでいて細かいところが気になって仕方がなくなってしまいました。たとえば「夜のくもざる」の〈へっぽくらくらしまんがとてむや、くりにかますときみはこる、ぱこぱこ〉という言葉は〈口から出まかせ〉ということになっていますが、本当は何か隠された意味があるに違いない、といった風にです。そのために本を読むスピードが遅くなってしかたがないです。〈へっぽくらくらしまんがとてむや、くりにかますときみはこる、ぱこぱこ〉の意味を教えてください。ついでにこうした拘り症というか疑り深さへの何か良い処方箋をお願いします。でももしかしたら「こんな答えが来たけど正直に答えるわけがない」とか、またも疑ってしまうかもしれないですね。どうしましょう? 
(跛行する羊男、男性、59歳、元教師)

ずいぶん綿密に本を読み込まれるかたみたいです。〈へっぽくらくらしまんがとてむや、くりにかますときみはこる、ぱこぱこ〉はあくまでその場のでまかせです。それ以外の何ものでもありません。でもそんなことを言っても、きっと信用してもらえないのでしょうね。いったいどう言えば信用してもらえるのだろう? 

村上春樹拝