「村上かるた」もご自身の発案で?

ハルキさんは出版社からの依頼で小説を書くのではなく、書き上がったらご自分の方から出版社に連絡して本にされるとの事ですが、小説以外のジャンル……例えば翻訳とか旅行記とかエッセイ、カルタ、工場見学などなど。「村上春樹もの」は全てご自分で発案した企画から始まっているのでしょうか? 
このサイトもご自分から言い出してとのことですが、村上春樹発案でなければきっとできなかったのでは?と思うものもあるので、質問しました。
個人的にはカルタの本は「よくまぁ販売したよな」と思っています。私が編集者なら、自分からは提案する勇気はないです。まぁ買っちゃいましたけど^^;
(尾曲がり猫ニャオ、女性、48歳)

カルタの本も僕の方から言い出してつくった本です。回文も、工場見学も、するめクラブも、『走るときに』も、みんなそうです。僕が「こういう本をつくりたいんだけど」とアイデアを出して、編集者がそれにつきあってくれました。ちなみにどの本も岡みどりさんという女性編集者が担当してくれました。とてもこまわりのきく有能な編集者で、僕にとってはずいぶん貴重な存在でした。「変な本がつくりたかったら岡さんのところに行け」というのが僕の鉄則でした。この人がいなかったら、それらの本もできなかったかもしれません。ストレスが溜まってときどきヒステリーを起こすので、宥めるのに手を焼きましたが。

岡さん(別名オガミドリさん)は平凡社時代の水丸さんの後輩で、僕と水丸さんと彼女とで組んで、よく仕事をしました。工場見学の本を作ったときも、三人で一緒に全国をまわりました。僕と水丸さんとで「また岡がヒステリーを起こしてるよ。まったくもう」みたいなことを言い合ったものです。でも二人とも、つい最近、相次いで亡くなってしまいました。とても残念です。僕らは三人でずいぶん楽しく仕事をしていたんですが。

村上春樹拝