ファンに声をかけられると戸惑いませんか?

こんにちは、こうやって村上さんとお話できる機会があるなんて、夢みたいです! 
私は、文章を読んでいると映画を見ているように、頭の中でビジュアルに変換してしまうのですが、村上さんの作品から見えるその映像は、手に取ったことのあるものが急に手にしたことのないものに変わります。その変化がもたらす余韻は特別に興味深く、いつも楽しませていただいています。
ありがとうございます。

さて話が変わってしまいますが、私も作家です。
作家といっても物書きではなく、物作りの方ですが。
村上さんは、お会いした方に「ファンです!」と言われるのに、戸惑った経験はございますでしょうか? 私もたまに言われるのですが、嬉しくありがたい反面、いつも違和感が残り素直に喜べません。
たぶん、声をかけてくれる方は、私自身に対する好意ではなく、作品に対する好意を持って、私に話しかけてくれているからだと思うのです。
私ではなく、あくまでも作品のファンなのだなと。
そして、ファンだと言ってくれる方の、私の作品の話は、私が作品に込めたコンセプトとは違った思いがあったりして、話が噛み合わなかったりもします。
うまく会話ができなくて、その人をがっかりさせてしまうこともしばしばです。

同じような経験がおありでしょうか? 
上手く接するコツなんてものがあれば、教えていただきたいです。

そんなことを考えているにもかかわらず、もしこの先、村上さんにお会いする機会があったら、迷惑も顧みず、「大ファンです!」と言ってしまいそうですが。
それを想像したら、私に声をかけてくれる人の気持ちがわからないでもありませんね。

これからも新しい作品楽しみにしています! 
そして、いつかどこかでお会いできたら嬉しいです。
では。
(猫柳、女性、35歳、アーティスト)

僕は小説を書いている<村上春樹>と、小説を書いていないときの村上春樹とは別人だと割り切っています。だからもしどこかでファンに声をかけられたとしても、「これは僕のことじゃないんだ」と考えるようにしています。今はいちおう<村上春樹>の代理として、こうしてファンと話をしているのだと。そうするといろんなことがわりに楽になりますよ。「はあ、いちおううかがっておきますね」みたいな感じで。試してみてください。

村上春樹拝