新聞の将来に危機感を抱いています

新聞記者の29歳男です。
インターネットの台頭で新聞業界全体が不況に陥っており、部数の減少が止まりません。私が勤務する新聞社の場合、もう何年も前から連続して部数が減り続けているような状況で、底がまったく見えてきません。不安です。
自宅で自社の新聞を取っていますが、正直なところ、記者をやっていなければ購読しなかっただろうと思います。作り手側が言うのもなんですが、それくらい読みたいと思う記事が少ないです。個人的には、少しでも読まれる記事を書きたいと思ってはいますが。
社は旧態依然としており、息苦しさがただよっています。妻も子もいる身としては、このまま手をこまねいていてよいのだろうか、という危機感も抱き始めています。そこで質問です。
この先の身の振り方は私自身で考えるとして、村上さんは、いまの日本の新聞について(そんなに読まれる機会は多くないと思いますが)率直にどう思っていますか? また、これからの時代の新聞社や出版社が、インターネットとどう付き合っていくべきか、ということについてはどのようにお考えでしょうか? お話をうかがえれば幸いです。
(pizzapote、男性、29歳、新聞記者)

僕は日本の新聞の事情はあまりよく知らないのですが、アメリカの新聞はとにかくひどいことになっているみたいです。たとえば「ボストン・グローブ」は昔は読みごたえのあるしっかりとした新聞で、僕も愛読していたのですが、今ではなんだかぺらぺらした内容の薄い新聞になってしまいました。こんなに変わってしまうものかと、手にとって愕然としてしまいます。ハワイ州でも二紙あった新聞が一紙に合併され、それもほとんど虫の息という状態です。「NYタイムズ」はまださすがにがんばっていますが、いつまでそれが続くかもわかりません。日本の新聞もなんだか全体的に薄くなってきたような印象があります。アメリカを先行する例とすれば、現在ある日本の新聞社の合併、買収、消滅は近い将来やむを得ないのではないかという気さえします。もちろんアメリカと日本とでは、新聞社の経営基盤のあり方が少し違っているので、そう簡単には比較できないと思いますが。

僕も正直言って、日本ではあまり熱心に新聞は読んでいません。流し読みするくらいです。それも毎日のことではありません。読まなくてもそれほど不便はないな、というのが実感です。速報性ならインターネットや放送の方が勝っているし、詳しく事情を知りたければ雑誌を読むことになります。きっと新聞があとに置いて行かれたということなのでしょうね。

新聞記者の方はきっと足を使っていろんな記事を書いておられるのでしょう。でもその「足を使っている」という実感が、新聞を読んでいて今ひとつ伝わってこないんです。それがいちばん大きな問題じゃないかなと僕は思うんですが。

村上春樹拝