物語を紡いでいける「確信」

小説家になることが、夢です。
これまで、強くねがったことは、粗方叶ってきた気がしますが、小説家になりたいという夢の実現に関しては自信がなく、見通しもありません。
特に村上さんの作品はどう考えても、才能が成す創造であり、自分にはそんな才能はありません。
村上さんは、物語を紡ぐということにたいする自信のようなものは、いつ持たれましたか? 
締め切りギリギリになりましたが、一番聞きたいことを書くことができました。
どうか、お答えお願いいたします。
(たいきち、女性、33歳、総合職)

僕の感覚からいうと、それは「自信」というのとは少し違うものです。むしろ確信に近いものかもしれません。自分が何かしらの源泉に結びついているという確信。それは新人賞をとったときからうすうす感じていました。それがかなりきちんとした確信になったのは、『1973年のピンボール』で僕が双子と一緒に配電盤を貯水池に捨てに行ったあたりからです。そして『羊をめぐる冒険』を書いているときにその感覚の基礎はしっかり固められ、『ノルウェイの森』でテクニカルに拡張されました。

まず最初に「根拠のない確信」みたいなものが必要とされます。根拠はあとから見つけていけばいいんです。でも最初に確信がないと、ちょっときついかもしれない。

村上春樹拝