プリンとスプーンおばさんの話

15年前今回のように村上さんと読者のやり取りがあった時、「22歳なりたて女学生」という名前で、今日(藤沢市の)不二家でプリンを4つお買いになりませんでしたか? とメールを差し上げた者です。

その気軽にお送りしたメールには、これまで不二家でプリンを買ったことはないし、これからも買うことはないでしょう、というようなお返事をいただきました。
大学時代のアルバイトはほぼ不二家でと言っていいくらいの日々を過ごしていた私なので、村上さんの言葉に「不二家のプリンなんて食べねぇよ」というような雰囲気を感じて、ご返信いただいた嬉しさとともに寂しさも感じたものです。

現在37歳となり、アメリカや東京に住んでそれなりにおいしいものも食べましたが、不二家のプリンもそれなりにおいしいものです。
アルバイトをしていた当時、週に1回プリン1個を買いにやってくる中年女性がいて、おそらく仕事帰りなのでしょう、たいてい疲れてイラついている感じでした。商品を渡すと必ず「スプーン入ってる?」と怒っているように聞くのが印象的で、バイト仲間の間では「スプーンおばさん」と呼ばれていました。
その後、社会に出てから仕事帰りのちょっとした甘いものは、その日頑張った自分へのちいさなご褒美であることがよくわかりました。スプーンおばさんにとってもそうだったのだと思います。疲労度によってなのか、シュークリームも追加することもありました。今でもプリンを買っているかしら? お元気だといいなぁと思います。

今回村上さんが読者からのメールを受け付けていらっしゃると知り、不二家のプリン、そしてスプーンおばさんについて懐かしく思い出した次第です。
大学時代は藤沢で過ごしましたが、今は結婚してうどん県に住んでいます。またいつか讃岐うどん巡礼にいらしてください。うどんも進化しております。
これまでと変わらず、これからも不二家のプリンを買うことはない村上さんかと思いますが、どうぞお元気でお過ごしください。
(第二子出産したて主婦、女性、37歳、専業主婦)

僕はプリンというもの自体を食べないのであって、不二家のプリンを食べないと言ったわけではありません。もう少しきちんと説明すればよかったですね。僕の説明が足りなくて、あなたを不快な気持ちにさせたのだとしたら、今さらながら申し訳なく思います。僕はプレーン・ドーナツは食べますが、そのほかの甘いものって、まずほとんど食べないんです。プリンって、もうたぶん40年くらい食べたことがないと思います。

うどん県の生活は楽しいですか? 讃岐うどん、またじっくりと食べたいですね。

村上春樹拝