多夫多妻制だったら平和なのに

村上さん
こんにちは。私は今43歳で既婚・子持ちです。これまで濃厚で深みのある恋愛経験を数多く積んできました。とてつもない嫉妬心に苦しまされたり、気が狂いそうなほど激しい恋愛、不倫や浮気もしてきましたが、これらの経験すべてが自分を豊かにしてくれたと実感しています。
その結果、一つ悟ったことがあります。それは「この世が多夫多妻制であったら、多くの問題は解決されるのではないだろうか」ということです。人間の本能に従った場合、多夫多妻制の方が良いのではと思うのです。
誰かに恋したり、誰かを愛することは生きる上で一番大切なことであるはずなのに、それらがなぜ限定されなければならないのでしょう? 縁あって愛し合っている二人がなぜ罪悪感を覚えなければならないのでしょう? 
嫉妬心、また浮気がいけないという考え方は一夫一婦制の社会が生み出したモラルに過ぎないのではないでしょうか。もし浮気や不倫(便宜上、あえてこういう言葉を使います)が肯定される社会であれば、世の中はもう少し平和になるのではないかと思うのです。
村上さんは質問者への回答で「パートナーがいないという若者がすごく多い」と書かれていましたが、多夫多妻制になることによって、彼氏や彼女がいない人達にもチャンスがいっぱい訪れるかもしれません。
ただ一つ未解決の課題もあります。私は母親なので、子育てをする上では通常の多夫多妻制は難しいだろうということです。でも何らかの修正、補完をすることで愛に満ちた育児は可能だと思ってます。
あるいは、この地球上では不可能なことなのでしょうか。
村上さんはどう思いますか? 
(みらの、女性、43歳、会社員)

1960年代にはあなたのような考え方が「ビューティフル」なものとされ、フリーセックスや夫婦交換(スワッピング)みたいなものがわりに広く行われました。一夫一婦制は「アウト」なものと考えられていました。でもそのうちにそういうのもだんだん廃れていきました。たぶんそこには何か無理があったのだと思います。その反動として一時期は「ニュー・ファミリー」とか「ファミリー・ヴァリュー」みたいなことが言われましたが、それもなんだか嘘っぽくて、今のように一夫一婦制を適度にゆるやかに運営していこう、みたいなことになっています。あなたも「適度にゆるやかに」運営していかれたらどうでしょう? それがいちばん現実的で無難な選択だと思いますが。

村上春樹拝