腹が立ってもクール・ジャパン!?

ベルリンに住んでいます。ベルリンはとても暮らしやすい街で気に入っているのですが、多種多様な国と文化が混ざった人々が暮らしている街ですし、街を歩いていたり、電車に乗ったり、買い物をしているだけで、理不尽な態度や言動を目の当たりにし、行き場のない怒りを暫くの間抱えることが幾度とあります。そんな時、私も落ち着いて相手がいらっとする言葉を一撃で冷静に返せれば、どんなにいいだろう! と思うのですが、未熟者の私は興奮するだけで、ドイツ語で大したことは言えず、あとまでそのいらいらを引きずることが多いのです。
仕事でも先日、理不尽な理由でいつも周りにストレスを発散させている上司に、全く私には無関係なことが発端で、「お前はこの仕事、ポジションにいるべき人間ではない!」と電話でいわれたけれど、びっくりして思うように言い返せませんでした。
村上さんは海外で生活されていたときに、すごく怒ってしまうことってありませんでしたか? そういう時って、どう対処されていましたか? 私だって35歳だし、もうあんまり怒らず穏やかに過ごしたいのですが。
(ベルリンで生姜焼き、女性、35歳、小売業)

外国で生きていくって、けっこう大変ですよね。頭に来ることも多いし。お気持ちはよくわかります。

ただ「外国では喧嘩をするな」というのが僕のモットーになっています。経験的に申し上げまして、外国で、よその国の言葉で喧嘩をして、得をすることはまずありません。腹が立つ気持ちはよくわかりますが、いろんなことを呑み込んで、ぐっとこらえて、Who cares? とクールに構えているのがいちばんです。黒澤明の『七人の侍』の宮口精二みたいに。がんばって耐えてくださいね。クール・ジャパンです(なんのことだか)。そのうちにまた良いこともあります。

村上春樹拝