手帳にデッサンを描く人

村上さんこんにちは。
初めましてのお手紙を書くようで大変どきどき、わくわくしています。私は名古屋の大学で国文学を勉強している大学3年生です。

村上さんにお聞きしたいのは、手帳の使い方についてです。
先日地下鉄に乗っていたら、隣の男性が手帳に何かを素早く書き記していました。ちらりと見るかぎり、文字を書いているのではありません。ごめんなさいと思いながら、またちらりと見ると、なにやら向かいの座席に座っている人を、素早くデッサンしているようなのです。それはハサミで新聞をスクラップするかのように、何気ない人々をきちんと丁寧に、一人ずつ記録してゆく作業に感じられました。
斬新な手帳の使い方に出会った瞬間でした。
村上さんは手帳をどのようにお使いになっていますか? 
ちなみに私は、ゼミのレポート提出日や彼氏とのお泊まりの日などの予定を書いています。苦しいことも楽しいこともごちゃまぜです。字は大きめで好きなようにがりがり書きこみます。

村上さんの文章は、私の心の栓抜きです。大好きです。またお目にかかることができますように。

それでは、失礼します。
(はるぱんだ、女性、21歳、大学生)

僕の知り合いにニューヨークの地下鉄でよく人物のデッサンをしている人がいました。勝手に写真を撮られて怒る人は多いですが、絵に描かれると人はむしろ喜ぶみたいだということでした。そうかもしれないですね。

彼氏とのお泊まりの日があるんだ。楽しそうでいいですね。名古屋の夜をほっこりと楽しんでください。

村上春樹拝