ハーブ・ゲラーの素敵なサックス

はじめまして。わたしはドイツのハンブルクに住んでいます。数年前、主人と一緒に近所のジャズクラブへふらっと立ち寄りました。ライブはもう始まっていて、いつもはそれほど混んでいないのにほぼ満席という状態でした。とてもすてきなライブで、特にサックスが素晴らしかったので、またぜひ彼の演奏を聴きたいと調べてみると、サックスプレイヤーはHerb Geller氏という有名な方だと知りました。ずいぶん高齢の方だとは思ったのですが、演奏からはまさか80歳近いとはとても思えませんでした。あんなふうに歳を重ねられたらすてきだなあと思います。その後2回Geller氏のライブに行くことができました。
今ではもう彼の演奏を聴くチャンスはなくなってしまいました。とても残念です。
村上さんは、Herb Geller氏のアルバムや彼の参加しているアルバムで好きなものはありますか? よかったら教えてください。
(かかと、女性、40歳)

ハーブ・ゲラーは50年代から60年代にかけて、ウェストコーストのジャズ・プレイヤーとして活躍した人ですが、後年はドイツにわたってヨーロッパを中心に演奏活動をしていました。派手さはないけれど、けっこう芯のある演奏をする白人アルトサックス・プレーヤーでした。2013年に亡くなっていたんですね。うちにも10枚くらい彼のリーダー・アルバムがあります。

僕がいちばん好きな彼のアルバムは“Fire in the West”(1957)です。ケニー・ドーハムやレイ・ブラウンといった、西海岸を訪れていたイーストコーストのプレーヤーと、ゲラーをはじめとするウェストコーストのプレーヤーが臨時のバンドを組んで録音したものですが、ぴりっと胡椒がきいた良い演奏です。クリフォード・ブラウンと共演したレコードも一聴の価値があります。奥さんはロレイン・ゲラーというとても才能のあるピアニストだったのですが、1958年に若くして亡くなってしまいました。何枚か二人で共演したレコードもあります。

村上春樹拝