過剰な情報が子供たちを脆くしている

村上さん、こんにちは。
大学時代から村上さんの作品を読んでいます。新作をいつも楽しみにしています。
教育現場にいる者として、ここ数年特に肌で感じて考えることがあります。それは今の子どもたちの情報とのつき合い方です。今の子どもたちは物心ついたときから携帯電話が手元にあり、ネットを使ってあふれる情報に接することができる。SNSで24時間、友人グループとつながっている。そういう過剰でバーチャルな情報のやりとりが、人間関係のトラブルやいじめ問題につながっています。情報が簡単に手に入る社会は確かに便利ですが、そのような膨大な情報に囲まれた社会で生きる子どもたちは、自分自身としっかり向き合う時間を持てていないように見えます。成長過程の中では、ある種、情報のない不便さが培うたくましさというか粘り腰の精神性のようなものがあると思いますが、過剰な情報社会が今の子どもたちに感じる「もろさ」の遠因の一つではないかと考えています。情報教育は学校でもありますが、現実の情報社会は教育を完全に追い越してしまっています。
村上さんは、今の子どもたちは情報とどういう風につき合っていくべきだとお考えですか。小論文のテーマみたいですみません。
(バッティングカウント、男性、37歳、高校教員)

世界はどんどん変わっていきますし、その変化(変更というべきかもしれませんが)を止める手立てはありません。それに順応するか、そこから脱落(あるいは離脱)していくか、そのどちらかです。僕自身は部分的に順応し、部分的に脱落しています。普通の成人はたぶんそうしているはずです。子供たちの大半はそれに順応していっていると思います。彼らにとってはそれが自然なわけですから。

僕は社会の変更のほとんどは、プラスがありマイナスがあるものであって、結局は差し引きプラマイ・ゼロになるだろうと思っています。そう考えてやっていくしかないでしょう。マイナスをつぶそうとおもっても、まずうまくいきません。プラスをみつけていくしかないと思いますよ。あまり回答になっていないみたいですが。すみません。ご健闘を祈ります。

村上春樹拝