その後のマイケル・ギルモア

春樹さんこんにちは。
春樹さんが訳したものはこの前の『フラニーとズーイ』をはじめいつも楽しみに読ませていただいています。
中でも、一番衝撃だった作品はマイケル・ギルモア『心臓を貫かれて』でした。
春樹さんが読後にものの見方が変わってしまったとおっしゃったとおり歴史や家族の「呪い」の連鎖が致命的に人を損なっていく様は、ギルモア家ほどではないにしろ、自分自身にも覚えがあるものなので読んでいてとてもつらかったです。
最後、著者であるマイケルさんは自ら家族を持たないことで負の連鎖を断つという正しいのかもしれないけど、とてもつらい決断をされていました。
その後のマイケルさんに関しては英語版ウィキペディアを参照しても書かれていませんし、SNSなどをみても英語が不得手な僕にはうまく情報を集めることもできないのですが、彼と、そして最後に出てきたゲイリーの息子についてどうなったのか、ご存知でしょうか? 
できることならとても幸せに暮らしていてくれればと願っています。
(comekruisu、男性、34歳)

そうですね。『心臓を貫かれて』は本当に胸にずしりとこたえる、重い本でした。そしてとことん怖い本でもありました。

筆者のマイケル・ギルモアは、「ローリングストーン」誌専属のライターとして、今もロック音楽の評論を書き続けています。Night Beat: A Shadow History of Rock and Roll (1999)とStories Done: Writings on the 1960s and its Discontentsという二冊の単行本を出しています。どちらもロック・ミュージックについての本です。「ローリングストーン」誌のサイトでは、彼の書いた記事をすべて閲覧することができます。ツイッターもフェイスブックもアクセス可能です。どうやら元気に意欲的に仕事をしておられるようですよ。

兄のゲイリーの遺児についての言及はどこにも見当たりませんでした。近年の履歴をざっと追った限りでは、マイケルはゲイリー関係の事柄についてはもう何ひとつ語りたくないと決めているみたいです。そういう印象を受けます。気持ちはよくわかりますが。

ところで先日、ユタ州ではまた銃殺刑が復活するというニュースを目にしました。しばらく前に銃殺は廃止され、以来薬物投与による死刑が執行されてきたのですが、ヨーロッパから輸入していた薬物が入手不可能になり(残酷だという理由でヨーロッパが輸出を中止したんです)、仕方なく銃殺刑を復活させたということです。なんだかちょっと怖いですね。

村上春樹拝