退屈で話の合わない夫との老後なんて

初めまして。今回「そうだ、村上さんに質問」サイトの再開を知り、リアルタイムで参加できることが夢のようです。高校生の時に出会って以来、ハルキさんの小説・エッセイはほぼ全て読んでいます。待っていれば新刊が読めるのもとても幸せだと思っています。これからもずっと長生きして素晴らしい小説を書き続けてください。

さて質問ですが、ハルキさんは「好き」だけで趣味の合わない結婚生活は続くと思いますか? 私は結婚して14年、子供も2人いますが、どうも昔から主人と笑いのツボや興味の対象が違って、話が合わないのです。主人が関東、私が関西の人間だからかもしれません。かっこよくて芯が強くて尊敬できるところが沢山あってセックスの相性も素晴らしくて、大好き! と思って結婚しましたが、何を話しても反応が薄く、そっけなくてつまらないのです。年々その傾向が強くなり、主人だって私といてもつまらないんじゃないか? と思い、時々離婚まで考えるのですが、向こうは何も疑問に思っていないようです。かといってこれまで浮気もたくさんしてみましたが、主人を捨ててこの人と!というほど魅力的な人にはなかなか出会えませんでした。

主人のことは今でも好きでつい一緒のお布団にもぐりこんでしまいますが、性生活がなくなった老後のことを考えるとこのままでいいのか、もっと一緒にいて楽しい人を伴侶にすべきでは?と心配になります。ハルキさんは「性格、特に笑いのツボが合わない」結婚生活についてどうお考えになりますか。ちなみに主人とはもちろん読書の趣味も合わず、『ノルウェイの森』を「おばさんとやりまくる小説」と呼ぶフトドキモノです。
(たぬきち、女性、37歳)

ううむ、そうですか。「これまで浮気もたくさんしてみましたが」ということですが、そんなにたくさん浮気したんですか。すごいですねえ。そのたゆまぬ検証努力には、僕としても敬服しないわけにはいきません。そしてその検証の結果、今の夫をしのぐ人は見つからなかったんだ。それはよかったですね、と言うべきなのか。

いずれにせよ、今から老後のことを心配してもしょうがないですよ。とりあえず今のご主人に代わる人がいないのなら、今のままでいいじゃないですか。セックスの相性も良いということですし。老後のことは老後にまた考えましょう。ご主人とうまく話があわないのなら、賢い猫をみつけて飼うといいですよ。退屈しません。

村上春樹拝