昭和24年生まれの感覚とは?

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』で主人公の多崎は、僕と同い年であり、とても感覚的な表現ですが、主人公の感覚が僕と似ていました。

昭和52年生まれの人間の感覚が、なぜ村上さんにわかるのですか? 
また村上さんは昭和24年生まれですが、昭和24年生まれの感覚というのはありますか? もしあれば、どのような感覚ですか? 
(君と飲んだビールや……、男性、37歳、家庭教師)

プロの小説家になるには「(ほとんど)何にでもなれる」という能力が必要です。言い換えれば自分を離れることができる能力です。たとえば16歳のホモセクシュアルの少年になれといわれれば、(もちろんあくまで小説的に必要であればということですが)なれます。その少年の目から小説を書くことができます。物語の世界に入っていけるようになると、そういうことができるようになります。もちろんかなりの集中力が必要ですが。

逆に、昭和24年生まれの感覚は? とあらためて訊かれると、もうひとつよくわからないかも。どうしてだろう? 

村上春樹拝