バカの海

村上さん、はじめまして。ゆうたと申します。

僕は数年前まで会社勤めをしていましたが、父の経営する事務所を継ごうと思い、退職しました。
ただ、社員として正式に働くには法律関係の資格が必要で、そのための勉強を始めてもう4年ほどたつのですが、なかなか合格できません。
いいトシして、自宅でしこしこと試験勉強の毎日です。
友達は仕事したり結婚したりしているのに、僕だけ時間が止まってしまっているように感じます。
「合格しなきゃ始まらないんだから」と自分に言い聞かせるものの、「この生活がいつまで続くんだろう」と考えると暗い気持ちになってしまいます。
勉強の合間に村上さんの旅行記をめくって、「試験が終わったらこんな風に海外旅行したいな~」なんて思っています。

村上さんはこれまでの人生で、前に進みたいのに進めずもどかしい時期ってありましたか? 
もしあったら、どんな風に考えてその時期を乗り切りましたか? 
コメントいただけたらうれしいです。
(ゆうた、男性、28歳、受験生)

僕の知人にも何人か法律関係の人がいますが、みんな「一時期ある程度馬鹿にならないと、試験には合格できない」と言っています。馬鹿になれるかなれないかが、鍵みたいですね。いったん「こんなことに何の意味があるんだ」と疑問を抱き始めると、なかなか馬鹿にはなれません。思い切って馬鹿の海に頭からダイビングしてみられてはいかがでしょう? ひょっとしたらけっこう面白いかもしれませんよ。なんにせよただの一時期のことなんだから。

村上春樹拝