鹿児島が肌に合わない私

村上さん、「水が合わない場所」で暮らさないといけない経験はありますか? 
私は結婚を機に、30年住んでいた東京から鹿児島に引越しました。鹿児島で暮らして10年。温かいご飯が食べられて、お家があって、健康でいられることが何よりの幸せだ、と分かりながらも、鹿児島の風習や言葉などに未だ馴染む事が出来ません。方言を聞くと胃がキリキリします……気持ちが前向きではない時は、五感全てがこの土地を拒否しているのが分かり、拷問かとさえ思ってしまいます……。
この先、この好きではない土地で生活を続け、子供を育て、人生を生きる自信がありません。
こんな風に考えているのは、やはり私の我慢がまだ足りないからでしょうか? 
(一日一笑、女性、40歳、主婦)

土地柄が合う合わないというのは、たしかにあると思います。十年間暮らしてみてまだ肌が合わないというのは、やはり相当合わないのでしょうね。鹿児島のかたが東京に行って、同じような思いを味わわれている例もあるかもしれません。お互い様というか。我慢が足りないという風には思いませんよ。お気の毒だと思うだけです。

ただ東京で生まれ育った人って、地方に対してわりに偏狭なところがありますよね。漱石にしたって、『坊っちゃん』の中で松山のことを「そこまで言うか」というくらいぼろくそにこき下ろしています。あなたもひとつ「鹿児島小説」みたいなものを書かれたらいかがでしょう。どんなものになるのかはわかりませんが、気持ちがすっきりするかもしれませんよ。試してみてください。

村上春樹拝