這いつくばってレストランを続けるべきか

はじめまして。
イタリアンレストランを開業して、1年ちょっと。ところが、全くお客さんが来ず、破産寸前です。
もう、辞めようかなと、毎日思うんですが、思いとどまらせるのは、一部、本当に一部、熱狂的なお客様、つまり大常連様がごくごく、たまに、発生するんです。この界隈ではないお店、絶対に必要だとまでおっしゃってくれて、来店時に必ず翌月の予約をして頂ける方が、じわじわ増えてはいるんです。
基本、商売的な見地からみたら、立地とやってる内容がずれてるんだと思いますが、ロケーションに一目惚れして始めてしまいました。人には、失敗する人の典型だと、一刀両断されます。
一目惚れで計算せずに始めたのは、良くはなかったですが、そこじゃなきゃまだ、会社勤めしてたと思うんですよね。
問題なのは人に何か言われても、それは構わないんですが、正直僕も自身でダメかな? と思い始めてる事です。ですが、一部熱狂してくれるお客様を目の前にすると、当てのない期待を、つまり、もう少し耐えれば、もしかしたら、商売になるかも! と、たまに、腹の底から思っちゃうんです。また、今は開き直って、もう、そういうお客様だけを少しずつでも増やしていこうと、その立地のセオリーみたいなものには、迎合しないでやってます。
ですが、お金も底だし、そういうお客様が増えて商売が成り立つようになるまでの、先立つものが限界と相成りまして、まさに思案のしどころでして。
さて、お聞きしたいのは、這いつくばってやるという判断は、正しいと思われますか? 
この情報だけで答えようがないとは、重々承知しておりますが、一つ村上さんのお考えをお聞かせ願いたいです。
村上さんの本はいつも読ませて頂いてます。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』はもう擦り切れる程読ませて頂いてます。今も、これからも。
(寿司の方が好き、男性、37歳、自営業)

僕も「こんなところじゃ商売にならないよ」といわれた場所で、店を二軒(ある程度)成功させてきました。しかしそういうところで商売を始めると、最初のうち経営が苦しいこともたしかです。その苦境を乗り切るだけの準備資金がないと、そこでおしまいになってしまいます。世の中は厳しいです。

あなたのお店に実際に行ったことがないので、どんな立地なのかもわかりませんし、具体的なことはもちろん何も申し上げられませんが、メールの文章を拝見していますと、今ががんばりどきなんじゃないのかなと感じます。開店して1年ちょっと、いちばん苦しいときです。せっかくお店を始められたのだから、ここはひとつ手を尽くして、あとしばらく踏みとどまられた方がいいのではないでしょうか。そのうちにじわじわと口コミがきいてくるかもしれません。努力は立地の不利をカバーできます。もちろん「ある程度まで」という条件付きですが。がんばっておいしいイタリア料理をつくってください。

村上春樹拝