笑えないダジャレにはワケがある

こんにちは。
みなさんへの村上さんの返事を読んでいて、ふと質問してみたくなりました。
私と夫は同じ職場で仕事をしています。
この年になっても、失敗したり、お客様に怒られたりして、凹む日もあります。
私が真剣に夫に悩みを相談すると、夫はいつもくだらないダジャレを言ってきます。しかも、能天気な顔で! 
こっちはまじめに話しているのに、まったく笑えないダジャレを言うので、本当に腹が立ちます。
でも、最近、そのダジャレを聞いて、なんだか悩んでいる自分が馬鹿らしく思えてきました。
これまで、夫はしょーもないことばっかり言うヤツだと思っていたのですが、実はこれはかなり高度な慰め方のテクニックなのでしょうか。
何となく、村上さんならわかるような気がして。
それでは、お元気で。
(猪突猛進系、女性、43歳、会社員)

そういえば河合隼雄先生もしょっちゅうだじゃれを言っておられる方でした。高尚な冗談とかじゃなくて、まったくくだらないだじゃれなんです。おかしいのもあったけど、まったくおかしくなくて、あまりにもおかしくなくて笑ってしまうものもありました。でも何度かお目にかかるうちに、河合先生にとっては、そういう無意味なだじゃれを口にすることがとても大事なんだということが、だんだんわかってきました。空気抜きというか。そしてそれはできるだけくだらない、無意味なだじゃれじゃなくてはならなかったんです。そうすることによって、場を宥(なだ)めていくというか、すっと肩の力を抜いていくというか、状況のとんがった整合性をちゃらにしていくというか。

たぶんおたくのご主人も、そのへんのことをなんとなくわかっておられるのではないでしょうか。お話をうかがっていると、そういう気がしますが。意外に深い方かもしれませんよ。

村上春樹拝