シベリウスしか演奏しないオーケストラ

村上さん、こんにちは。
私は、学生のころからアマチュアでオーボエを吹いていて、作曲家の中ではシベリウスが大好きで、現在ではシベリウスしか演奏しないというオーケストラに所属しています。
村上さんの作品も学生のころから大好きだったのですが、小澤征爾さんとの対談のなかで、村上さんがシベリウスのシンフォニーが好きと書かれていて、どこか通じるところがあるのか? と大変驚きました。
そこで質問なのですが、シベリウスの生家も訪問された村上さんは、シベリウスのどのあたりに魅力を感じていらっしゃるでしょうか? シベリウスの魅力を村上さんに語っていただき、一人でもシベリウスファンが増えたら幸甚です。

追伸
厚かましいお誘いではありますが、3月と4月に演奏会があるので、もしご興味とお時間がありましたら、是非お越しくださいませ。もちろんご招待いたします。
(p_monteux、男性、40歳、会社員)

シベリウスの魅力? どういうところ、と言われてもなかなか一口では言えません。ただなんとなくシベリウスのシンフォニーを聴いていると気持ちが良いんです。どの曲が好きだとか、そういうのもあまり関係ないみたいですね。1番とか5番とかは比較的よく聴きますが、別に何番でもいい、みたいなところはあります。聴いていると、固有の風景みたいなものが目の前にさあっと浮かんできて、それを雄大な一幅の絵みたいに、ただぼおっと眺めているみたいな。ただその響きを通過させているみたいな。ドイツ音楽だとつい何かしら考えてしまうんだけど、シベリウスって聴いていて「とくに何も考えなくていい」みたいなところがあります。僕だけの意見かもしれませんが。

うちにはシベリウスの全集がいくつかあります。僕はコリン・デイヴィス指揮・ボストン交響楽団の演奏が昔からけっこう好きです。節度があって、押しつけがましくなくて、好感が持てます。あとはサイモン・ラトルとか、マゼールとか、バーンスタインとか、渡邉曉雄(新旧)とか、ベルグルンドとか。日程の関係もあり、コンサートにうかがうのはちょっとむずかしいと思いますが、がんばってくださいね。

村上春樹拝