将来の仕事で悩む13歳

少し変わった中学生からです。

僕は「少し変わっている」とよく言われます。確かに自分でもそう思いますし、変わったなりの職業でないとやっていけない気がします。今回は職業と生き方についての質問です。

僕は目標が決まれば確実に努力をするタイプの人間で、努力すればいいということが多いです。

そんな僕ですので、どうしても将来の職業や生き方が気になって仕方ありません。他の大人は今は黙々と生きればいいと言いますが、それだと一人になった途端に「生き甲斐がない」などと思い悩んで、時間が無駄に過ぎてしまいます。それでもいいのかと思って、『風の歌を聴け』の主人公のようにのんびりしていても、この就職難に根性がない僕が教養や学力さえもなければ話になりません。
今回はどうしたら天職や好きな職を見つけ、これならやっていけると思えるかをご質問したいと思います。

村上さんのように素晴らしい文章をお書きになられる方は尊敬していますし、僕も作家はいい仕事だなと勝手に思っております。
生き方の本は何冊も読んでいますが、何一つ変わりませんし、当たり前の事しか書いてありません。
僕は死ぬまでに自分の世界を全うしたいと思っているので、どうかお返事をください。心からお願い申し上げます。
長くなってすみません。
(****、男性、13歳、中学生)

そうか、13歳で既にどんな仕事に就けばいいのか思い悩んでいるんだ。僕なんか13歳の時には、将来の仕事のことなんか考えもしなかったですけどね。ただほいほいと気楽に遊んで暮らしていました。それでなんだか知らないうちに作家になっていました。作家はいいですよ。通勤しなくてもいいし、上役もいないし、会議みたいなものもないし、好きなときに起きて好きなときに寝られるし、ネクタイもしめなくていいし、とくに資本もいらないし、世界中すきなところで仕事ができるし。でもたしかに誰でも作家になれるわけじゃないですよね。ある程度の才能が必要だし、運にも恵まれる必要があります。

どうやって天職をみつけるか? そればかりはやってみなくちゃわかりません。好きな女性に巡り会うのと同じことです。この世界のどこかにきみにぴったりの素敵な女の子(100パーセントの女の子)がいるはずなんだけど、きみがその子と巡り会えるかどうか、それは実際に生きてみないとわからないですよね。うまく巡り会えなくて、87パーセントの女の子と一緒になるかもしれない。でも87パーセントの女の子だってなかなか良いものですよ。人生とはそういうものです。実際にやってみなくちゃわからない。大事なのは勇気を持って前に進んでいくことです。100パーセントを目指しつつ、87パーセントも悪くないかなと実感することです。わかるかな? 

村上春樹拝