多崎つくると沙羅の「その後」

初めまして。
この企画を知った時に前々から村上さんに聞いてみたい事がありました。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のラストで、多崎つくるの恋愛の結末がどうなるのか分からない部分で小説が終わっている事に前から疑問を持っていました。
彼は、この後沙羅さんとうまくいくのでしょうか? 
それとも一生異性に深く心を開かない孤独な人生を送るのでしょうか? 
知人に「多崎つくる」に非常に似ているプロフィールを持っている人間がいる(そして彼もまた異性の交際について内なる障害を抱えている)事もあり、この点は私の心の中でずっと心に引っかかっています。
もしこの質問に目を通される事があれば、是非とも回答して頂けると幸いです。
どうかよろしくお願い致します。
(Dance in the dark、女性、38歳)

申し訳ないのですが、そればかりは僕にはわかりません。僕が知っているのは本に書いてあることだけです。そこから先の話がどうなるか、その判断は読者のみなさんの心に委ねられています。未解決の疑問を抱えたまま生きていく人生も悪くないものですよ。しっかり抱えていれば、いつかふとその疑問が解ける瞬間がやってくるかもしれません。答えは常に与えられるものとは限りません。物語はあなた自身を映す鏡です。その鏡になにを映すかは、あなたが決めることです。

村上春樹拝