母親が夢見る結婚相手なんかいないのに

村上さんはじめまして。
私は1月で30歳になったごくごく平凡なOLです。折り入ってお聞きしたいことがあるのです。私は特にこれと言った好きな人がいませんが、母親に女1人では生活が大変だから結婚しろとしつこく言われます。
ですが、母はそのわりに好みがうるさく、顔がよく背も高く高学歴の一流企業の人を望んでいます。そんな人はいないと言い返しますが、テレビで見るから存在していると言われてしまいます。
村上さんが私なら夢見る夢子さんの母親をどう納得させますか? 
よろしくお願いします。
(さきこ、女性、30歳、会社員)

人はいろんなことを夢見て生きています。というか、なにかしらの夢を持たないと、人はうまく生きていけないものなのです。自分の中に自分を含めた「物語」みたいなものをこしらえていきます。しかし現実がそれにうまく沿わないときには(だいたい沿いません)、物語をいくらか修正することを余儀なくされます。要するにバーを下げる。

だからあなたがやるべきことは、あなたが選んだ現実の男性を一人お母さんの前に連れて行くことです。「この人が私の好きな人なんです」と。そうすればお母さんも「うーん、しょうがないな」と思いながら(たぶん)、下方修正にとりかかられるだろうと思います。まず現実ありきです。誰か好きな人を見つけてください。もちろんお母さんが「よくやったね。この人なら言うことないよ」と言ってくれれば問題ないわけですが。

村上春樹拝