感動をシェアするってむずかしい

ハルキさん、こんにちは。
こうしてハルキさんにお便りが送れるなんて夢のようです。ところで、先日、ある飲み会でハルキさんの本でどれが好きか、という話になりました。私は、小説も翻訳ものも、エッセイもインタビューものも大好きで、急にははっきりと答えられませんでした。というわけで、ハルキさんの本の話は、飲み会の話のネタにはちょっとディープ過ぎて合わないな、というのが私の感想です。
村上春樹が好き!! といっても、なかなか話が合わない(好きな本のジャンルが違うとか、好きなポイントが共感できない)ので、ハルキさんの本の話はもりあがりません……。残念です。
私は、オウム関連の著作や『心臓を貫かれて』、『雨天炎天』などが何度読み返しても面白いなあと思いますが、きっと飲み会の席で村上春樹の話題を出してくる人はそういうものは読んでないんじゃないかと思い、言い淀んでしまいます。読書の感覚って、本当に個人的な体験でなかなかシェアしにくいものだなあ、とつくづく思った次第です。
ところで、ハルキさんは、感動した本について誰かと深く共感しあえたことってありますか? 
熊本在住、コードネーム希望です。
(みみこ、女性、43歳、事務員)

考えてみればちょっと不思議なんですが、僕は昔から感動した本について、誰かと感動を共有したいという願望があまりないんです。なにかの本をうんと気に入ったら、もうそれだけで充足してしまうというか。もし誰かべつの人がその本をやはり気に入ってくれていたとしたら、もちろんそれは嬉しいんだけど、それはそれとして、意見の合う人がいなくてもとくに淋しくはありません。どうしてかな? 

村上春樹拝