もっと考えて本を読むべきですか?

春樹さん、こんにちは。
いきなりですが、本の正しい読み方ってなんなのでしょうか? 
よく春樹さんの作品に対して「○○はどういう意味を持つのか」や「あれは○○のメタファーなのか」などの質問が多く、みなさん小説を深く読み込んで、作品の意図をとても理解しているようにみえます。
ところが私は春樹さんの小説を読んでいて、そんな疑問を持ったことがありません。むしろいつも夢をみているような感じがします。変わったことが起きていても、全然不思議に感じないし、それをそのまま受け入れているのです(春樹さんは夢を見ないそうなので、あまり伝わらないかもしれませんが)。
もっと考えて本を読んだほうがいいのでしょうか? 
(まこ、女性、25歳、公務員)

こんにちは。あなたは今のままの感じで本を読み続けられていいと思いますよ。僕もだいたい、あなたが僕の本を読むのと同じような感じで、まるで長い夢を自然に通過するような気持ちで、本を書いています。意味を考えたり、構造を分析したりすることはまずありません。読み終えたあとで、内容を細かく解析するのが好きな人はいますが、それは小説を読むのとはまた別の、派生的な作業だと僕は思っています。あくまでオプションです。

本の正しい読み方というようなものはどこにも存在しません。読書くらい自由な世界はありません(学問の課題として本を読むような場合は別かもしれませんが)。とにかく自分の読みたいようにその本を読む権利があなたにはあります。その自由さをどこまでも大事にされるとよいと思います。もちろん分析をするのも自由です。しないのも自由です。

村上春樹拝