文章の書き方を学びたいのなら

村上さんこんにちは。
村上さんやカズオ・イシグロ、ポール・オースターが好きな十七歳です。高校生になってから将来の職業について考える機会が増え、いろいろと考えてみるのですが、やっぱり小説を書くことが仕事だったら楽しいだろうなーと考えてしまいます。専業の小説家は本当に限られた人だけがなれるものだと分かっているというか知っているつもりです。また個人的には小説家はなるか、ならないかではなく、なれるか、なれないか(またはなってしまうか、そうでないか)というようなものだと思っています。でもやはり小説家になれたらいいなーと考えてしまいます。今までに書いてみた小説というか文章はせいぜい原稿用紙十枚程度ですが、大学生になったらもっと長いものも書いてみたいと思います。
村上さん、職業選択について何かアドバイスをお願いします。
(つばくらめん、男性、17歳、高校生)

自己表現をするにあたっての僕のアドバイスは、レイモンド・カーヴァーが大学の創作講座で学生たちにしたアドバイスとまったく同じものです。「書き直せ」、これがすべてです。いろんなものを書き散らすのではなく、ひとつのことを何度でも何度でも、いやになるくらい書き直す。これが大事です。その作業に耐えられない人は、まず作家にはなれません。それから指導してくれる人、忠告を与えてくれる人が必要です。何度も書き直し、何度も忠告を受ける(あるいは批判される)、そうやって人は文章の書き方を学んでいきます。

たしかに職業的小説家になるのは簡単ではありません。しかしたとえ小説家にはなれなくても、人が生きていく上で、文章技術を身につけるというのはとても大切なことだと僕は思います。何かと役に立つものですよ。

村上春樹拝