ビリー・ホリデイは素晴らしい

村上さんこんにちは。はじめまして。妻と猫と暮らしています。いきなりですが僕はビリー・ホリデイの音楽がとても好きです。20代の頃はヴァーヴ盤(CD)をよく聴いていましたが、30を過ぎた頃から古いコロムビア盤(LP)が主になりました。彼女の音楽は身体に直に食い込んでくる感じがします。時としてそれが圧倒的なまでに迫って来るので、軽い放心状態になります。深い悲しみと喜びが一度に来たような、何とも言いようのない気持ちです。どうしてこういう事が起こるのでしょうか(もしかして村上さん御存知ではないですか?)。取り留めのない事を書いてすいません。いつも新作を楽しみにしてます。これからも頑張って下さい。
(とむねこなな、男性、36歳、自営業)

僕もコロムビア盤をよく聴きます。何度聴いても聴き飽きません。僕も主にLPで聴いていますが(どちらもCDとLPで全部持っています)、LPの音ってやはりいいですよ。昔ビリー・ホリデイのSPを何枚か持っていて、SPのプレーヤーでも聴いたんですが、SPはもっといいかも。でももうプレーヤーがなくなったので、SP盤も処分しました。ビリー・ホリデイの影響を受けた女性歌手は無数にいますが、何度も聴いていると「もういいか」と思ったりします。でもビリー・ホリデイの歌は「もういいか」とは思わない。いったいどこが違うのでしょうね。

コロムビア盤がヴァーヴ盤より個人的に好きなのは、たぶん(逆説的ですが)コロムビア盤の方がつまらない歌が多いからだと思います。素晴らしい曲ももちろんたくさん入っていますが、たいしたことのない当時のはやり歌も少なからず入っています。今ではもう誰も覚えていないような歌。でもビリー・ホリデイが歌うと、そんな歌でさえ輝いて聞こえます。そういうところが僕は個人的に大好きなのです。もちろん全盛時代のテディ・ウィルソンやカウント・ベイシーがバッキングをつとめているということもありますが。

村上春樹拝