老人ホームで働いています

特別養護老人ホームで働き始めて10ヶ月目。悪戦苦闘の日々です。
職場に100歳を超える寂しがり屋のおばあちゃんがいるのですが、入社3ヶ月くらいの時、就寝前に「私の好きな人はみんな死んじゃった。もう生きていてもしょうがない。死んじゃいたい」とおっしゃいました。一瞬言葉に詰まって「でも僕は○○さんのことが好きだから、いなくなっちゃったら寂しい」と答えたところ素敵な笑みを浮かべて「長いこと生きていたけどこんなに嬉しいことはない」と言っていただけました。僕も嬉しかったです。
ここまでは良かったのです。
しかし相手は認知症の高齢者です。ベッドに入る度に同じ質問を何度も僕に繰り返すのです。初めのうちはどうしたらこの人が寂しさを感じずに眠れるだろうと言葉を考えていたのですが、日々の多忙さにかまけて気づいたらおばあちゃんがその質問をした瞬間反射的に同じフレーズを薬を出すように使うようになっていたのです。
おばあちゃんは相変わらず同じフレーズで素敵な笑顔を見せてくれますが、何かすごく裏切っているような気がしてなりません。
いつも言葉を変え、気持ちを込められればいいのですが、戦場のような介護現場で、常に時間と戦い、自分の心の余裕もなく、そのおばあちゃんに対して雑になっていることは否めません。
村上さんだったらこういう時どうされるのでしょうか? 
(宮木ノプキ、男性、24歳、介護職員)

いや、それはもう毎日同じことを繰り返し言うしかないですよ。それがあなたに与えられた責務です。しっかり続けてください。そのたびに相手のおばあさんは幸福な気持ちになれるのだから、そしてあなたは誰かを日々あらたに幸福な気持ちにしているのだから、そんな素晴らしいことはありません。いろいろとご苦労が多いと思いますが、とても大事なお仕事です。どうかめげずにがんばってくださいね。

村上春樹拝