リコーダーは素敵です

一昨日雪が降って寒いアルプス山脈の麓の小さな村で、かなり迷った果てにこのメールを書く決心をしました。今まで村上さんが好きな日本の作家について語られることが無かったと思うのですが、今回夏目漱石の文章は素敵だと書かれていましたね。日本を離れるきっかけの一つにもなった程、夏目漱石に影響を受けてしまった私としては、村上さんの評価は嬉しいです。私の好きなものが村上さんと同じだとわかることって貴重なことなのです。他にも走ること、ジャズ、猫、 レイモンド・カーヴァー、料理等色々あるのですが。村上さんの作品には大学時代にはまって以来、特に『ダンス・ダンス・ダンス』と『羊をめぐる冒険』『ねじまき鳥』等は何度も読み返しています。ところで、以前「早朝に仕事しながら聞くのはリコーダー音楽がいい」と書かれていたと記憶していますが、村上さんが最も好きなリコーダーの曲を是非教えてください。中学生の娘が音楽学院でリコーダーを習っているのですが、なぜか他の楽器と比べて軽視されがちなので、村上さんからエールを頂けると嬉しいです。世界のどこかで村上さんにお会いできることを夢見ながら、これからもずっと村上さんの作品に励まされながら生きて行きたいので、どうか私より長生きしてくださいね。
(アルプスのリラ、女性、43歳、パートタイムの日本語教師)

リコーダーの音って素敵ですね。僕はヘンデルのリコーダー・ソナタ(op.1)が昔から大好きです。高校時代にハンス・マルティン・リンデの演奏するこのヘンデルのレコードを買って、今でも(50年近くたっても)それを聴き続けています。このレコードのおかげでリコーダーの魅力にとりつかれ、しばらくリコーダーの練習に励んでいたのですが、ものにはなりませんでした。フルートも駄目だった。僕はどうも楽器の習得には向いていないようです。語学なんかに関してはけっこう我慢強いのですが、楽器はどうもうまくいきません。娘さんには僕のぶんもがんばっていただきたいです。はい、できるだけ長生きするようにがんばります。

村上春樹拝