なぜ今初期2作の英訳を出すことに?

まさか村上春樹さんとの交流の機会を頂けるとは。ニュースで知った時には震えました。直接やり取りをするときっと面倒なことも増えると思いますが、それを厭うよりも「まぁお互い楽しくやろうよ」と気さくにされるスタンスがいつも、すごいなと思っています。
伺いたいのは、初期2作の英訳化についてです。
ちょうどこの場で、もうすぐ英訳化されることを知りましたが、なぜこれらに限って長らく英語版を出していないのかが長年の疑問でした。
村上さんといえば、英訳も人任せではなく、訳者の選定も訳のチェックも、英語圏では伝わらない内容であれば作品にまで手をいれて、日本語読者と同じように心を配られて英語読者にも作品を届けていらっしゃると感じています。
そんな村上さんが、この大事な初期2作を(僕は『ピンボール』が好きすぎてたまりません)今まであえて英語圏の読者には届けていなかったのには、どんな理由があったのでしょうか? 専業作家になる前の作品ということに、秘密は隠されているのでしょうか? 
今回英訳化されることになったきっかけを含めて教えて頂けると、ずっと引っかかっていた小骨が取れそうです。
(かくかくや、男性、31歳、会社員)

僕は自分が最初の二作でやっていたことに、今ではほとんど興味を持てないんです。冷たい言い方かもしれませんが、それが正直な気持ちです。テクニカルな意味でも多くの不満が残っています。読者にも読者のエゴがありますが、作者にも作者のエゴがあります。それは理解してください。

でもあの二作を好んでくださる人々も少なからずおられますし、そのことにはもちろん感謝しています。というような狭間でいろいろと迷っていたのですが、要望がとても多いので、思い切って海外でも出すことにしました。楽しんでいただけるといいのですが。

村上春樹拝