『ねじまき鳥』で学校をさぼりました

こんばんは。
村上さんの本の思い出を聞いてください。
高校生の時、学校帰りに『ねじまき鳥クロニクル』を図書館で読みました。テスト週間だったんですね。
読みきれずに、続きを残したまま家に帰りました。次の日どうしても続きが気になって、学校をさぼってしまいました。自分で学校に電話したんです。
1日『ねじまき鳥~』を読みました。
本をよんで何を感じたのかは、忘れました。でも本当に幸せな時間だったという事を覚えています。幸せで、気持ちが良かったのです。
今はあんまりそんな風に思える事が少なくなってしまいました。高校生のあの時だからできたことですね。はぁ、幸せだった(その日は母親がいつもより早く帰ってきて、学校からの電話に出てしまい、さぼったことはバレました。その時に私は本を読みたくて休んだと、なぜか恥ずかしくて言えませんでした。友達と遊びに行ったと、変な見栄を張りました。悪ぶっちゃって! 高校生ですね)。
村上さんは学生の時、幸せだった思い出はありますか?
(とり雑炊ちゃん、女性、24歳)

そうか、『ねじまき鳥クロニクル』を読むために学校を一日さぼってくれたんだ。ありがとうございます(とお礼を言うべきなのか)。でも本を楽しんでくれたようでよかったです。十代で本を読むのって、ほんとうに楽しいですね。純粋な喜びです。僕もいろんな本を読みふけって、いろんな至福の時を過ごしました。大人になると、なかなかそういう至福の時を持つことができなくなります。残念ですが。これからも僕の本を読んでくれるととても嬉しいです。長いおつきあいというのは大事にしなくては、と思います。

村上春樹拝