村上さんにとっての完璧な演奏

村上さん
こんばんは。

『セロニアス・モンクのいた風景』、面白く拝見しました。

巻末に「バッグズ・グルーヴ、テイク1」のモンクのソロが「ほぼ完璧に近い音楽」として思い浮かべられるとあります。

私もモンクのこのソロは完璧だと思っていたので、うれしく思いました。

他に、ジャズではどの演奏が「ほぼ完璧に近い音楽」だと思われますか(ビリー・ホリデーがレスター・ヤングをバックに歌う「君微笑めば」もそうだと書かれていますね。他にはどうでしょう?)。
(暗頭明、男性、45歳)

完璧な演奏と呼べるものはそれほどたくさんはないと思います。でも「完璧に近い演奏」ならけっこうあります。たとえば“Clifford Brown and Max Roach” (EmArcy) のB面でDaahoud/ Joy Spring/ Jordu / What Am I Here For?と続いていく流れなんて、聴くたびにわくわくします。でもこれが僕にとって完璧な音楽かというと、そこまではいきません。なぜか? それにまつわる「特別な個人的体験」がないからだと思います。「心のしがらみ」と言ってもいいです。そういうのって理屈じゃありません。あくまで人生の巡り合わせのようなものなんです。音楽って面白いものですね。

村上春樹拝