欲望と責任

ひょんなことから、世間でW不倫、またはセックスフレンドと呼ばれる彼ができ1年になります。彼とはいわゆる「ナイスなセックス」をしています。
村上さんはなにかほしいものがあるときに、この選択をしたら後悔するだろうかと毎回考えますか? 明日なにがあるかわからないから、ほしいものはほしい、と前向きに手に入れようとする選択をしますか。ほしいものを手に入れるそのために、臆面もなく嘘をつくことをいとわない人間は最低だと思いますか。
(Y、女性、44歳、会社員)

僕は基本的に誰のことも裁定したくありません。あなたの問題についても、それはあくまであなたの問題であって、僕が口を出すことではありません。あなたと同じようなことをしている人は、他にも少なからずおられるみたいです。それが自然なことなのか、あるいは自然ではないことなのか、僕にもわかりません。でもそれはあなたの人生だし、あなたには自分が何をするかを選ぶ権利があります。そしてもちろんそれに対する責任をとらなくてはなりません。そのことさえきちんとおさえておられれば、僕にはとくに言うべきことはありません。でもどうしても僕の個人的意見を聞きたいということであれば、僕はやくざな小説家ですので、「理がどうであれ、結果がどうであれ、ともかく自分の求めたいことを求めるしかあるまい」という方に一票を投じることになるだろうと思います。もちろん結果についての責任はとれませんが。

村上春樹拝