「わけがわからん」し「意味がわからん」

村上春樹さん、こんにちは。
「村上さんのところ」に寄せられる質問と、村上さんの回答を、たいへん楽しく拝見しています。
さて、今日の私の質問です。妻に村上春樹さんの小説の魅力を、どのように説明したらいいのか、村上さんからご回答をいただけたらというものです。
妻はかつて『ノルウェイの森』を読んだとき、感想が「わけがわからん」で、それ以降読む気がしない模様です。私は、村上春樹さんの小説の面白さは「謎を謎のまま放り出す」ところにあると思って、そのように説明したところ、「意味がわからん」と言われました。よろしくお願いいたします。
(村上主義者kurokuro、男性、52歳、会社役員)

僕の小説はやはり向く人と向かない人がいます。小説というもののとらえ方の違いもあります。考え方・感じ方の違いもあります。また同じ人でも僕の書いたものが向く時期と、向かない時期があります。というか、あるみたいです。駄目なときは駄目と、わりにあっさりあきらめられた方がよいと思いますよ。このあいだ辞職した大臣みたいに「わかろうとしない人にはわからん」と言ってのけるようなつもりはありませんが、無理をして「わからせる」ような必要もないのではないでしょうか。

世の中がみんな村上主義者になったら、それはそれでずいぶん変なものですよ。「今くらいでちょうどいいかもしか」と腕組みして考えるのが、おそらくは村上主義者の正しい姿勢であり、世界観ではないでしょうか。

村上春樹拝