悲しいときに悲しみ、泣けるときに泣く

こんにちは。
去年の今ごろ息子を病気で亡くしてから好きだった読書も音楽も虚しくなってしまいました。でも年末にやっと『女のいない男たち』を読みたい気になれました。まだ2話しか読めていませんが、「木野」がとても良かったです。最後に木野が泣いた時、私も自分のいる場所が少しだけ分かった気がしました。これからも悲しむべき時に悲しんでいいように思えました。
そんな風に思えたことが嬉しかったので、この機会にお礼を言いたくてメールさせていただきました。村上さん、ありがとうございます。
(マーガリン、女性、38歳、保育士)

息子さんのことはとてもお気の毒です。本当にお力落としのことと思います。

この話の主人公の木野は、最後の最後まで自らの感情を抑えつけています。というか、感情を外に出すことを拒んでいるうちに、感情を開く方法そのものを忘れてしまっています。でも自分の暗い内部から、恐怖が蓋を開けてずるずると這い出てきたとき、彼はようやく心を開き、涙を流すことができます。そういう話だと僕は考えています。小説を書き始めたときには、木野がどういう人なのか、僕にもさっぱりわからなかったのですが、書いているうちにだんだん彼のことが理解できるようになってきました。泣けるときには、とにかく泣けるだけ泣いてしまうことも大事ですよね。

まだ先は長いです。お元気でお暮らしください。

村上春樹拝