友達コンプレックスかもしれない

村上さん、こんばんは。

突然ですが、村上さんは寂しくなることってありますか? 
私は結婚していて、多くはないけれど親友と呼べる人もいます。
旦那さんとはほぼ毎日晩御飯を一緒に食べ、その日あったことを語らい、土日もほかに予定がなければ一緒に過ごします。
冷静に考えれば、寂しくなる必要なんてないように思えます。
でも、寂しいと思ってしまう時があるんです。

最近、これは「友達コンプレックス」なのかな、と思うようになりました。
私は子ども時代、友達がおらず、いつも独りでいました。
その時の記憶を、友達ができた今になっても引きずっているのかもしれません(できた、といっても、多くはありませんが)。

この年になって、感傷的なことをお話しするのは、かっこ悪いだろうなと自覚しています。
でも、どうしても、村上さんはどうなのか聞いてみたくなったのです。

小説やエッセイなどを読ませていただくと、村上さんや村上さんの描く主人公は、孤独を感じることはあっても、他人に頼らず、いつもご自身で乗り越えられているように思えました。これまで、その強さに勇気づけられてきました。

もし、寂しい、と感じられることがあるようでしたら、その寂しいと感じてしまう時間を村上さんはどのように過ごすのか、お聞きしてみたいです。

今日も寒かったですね。
お風邪など召されませんよう。
(aneco、女性、31歳)

僕は今のところ、友だちというものをあまり(というかほとんど)作らないかもしれません。十代の頃は何人かの親しい友だちがいたのですが、22歳で結婚して仕事を持ってからは、あまりに生活が忙しくて、友だちを作っているような余裕もありませんでした。そして作家になってからは、なんとなく「一人でやっていく」という習慣が身についてしまったみたいです。まあ、ずっと奥さんというパートナーはいるわけですが。

寂しくないか? 友だちみたいに思っていた親しい人に裏切られたりすると、けっこうがっかりするものです。僕はいろんな行きがかりでそういう目にあってきたので、とくに「寂しい」という気持ちはあまり抱かないようになりました。なによりあまりがっかりしたくないから。僕のような仕事をしていると、いろんなややこしいシチュエーションがあります。

友だちというのはやはり十代の頃に作っておくべきものなのかなと思います。そういう意味ではあなたの言う「友だちコンプレックス」というのは理解できます。でもそれはそれとして、今の親友たちとともに、新しい楽しい思い出を作られるといいなと思います。


村上春樹拝