肉欲を理性で踏みとどまらせるには

村上さんこんにちは。もう20年ほど愛読者やってます! 
さて、ご相談なのですが、肉欲を超えるにはどうしたらよいのでしょう。
『国境の南、太陽の西』の高校時代の始くんのように、どうしようもなく肉欲を感じる異性がいます。彼と、そういった関係を持つことは非常に不適切なのですが、以前魔がさして関係を持ってしまったことがあります。
先日、偶然再会してしまい、彼からまた関係を持ちたい意向を示され、困惑しています。
わたしも、彼も大切なひとがいる身であり、お互いに恋愛感情は一切抱いておりません。再会するまで彼のことを思い出すこともありませんでした。
しかし、先日の再会以降、彼と寝たくて頭がおかしくなりそうなのです。
わたしは、自分の大切な人を悲しませることはしたくありません。倫理的にもダメだと心から思っているのに、ただ彼と寝たくて仕方がないのです。
仕事や、読書などで何とか気を紛らわせようとしているのですが……。
彼とは、おそらくこちらから連絡するだけで、もの凄く簡単にセックスすることができるでしょう。
でも、踏みとどまらなければなりません。今のところは理性で持ちこたえているのですが、理不尽な欲望に、どこまで耐えられるのかわからないのです。
小説では始くんは、引力に逆らえなかったようですが、わたしは何とか逆らいたい。
不謹慎な質問で、大変申し訳ありませんが、村上さんならどう対処されますでしょうか? 
(庭に二羽鶏。、女性、34歳、会社員)

僕ならどうするかと言われても、僕は男ですから、女性の性欲のあり方についてはあまりよくわからないんです。恋愛感情はまったくないけれど、お互いちゃんとしたパートナーはいるんだけど、セックスはものすごくしたい。我慢できそうにない。むずかしいですね。ずいぶん強く肉体的な、直接的な引力を感じておられるのでしょう。正直言って、僕にはどのようなアドバイスも差し上げられません。でもこの先どうなるか、だいたいの予測はつきます。できるだけ注意深くなってくださいね、としか僕には言いようがありません。あしもとに気をつけて、こけないように、ものを倒さないように。

村上春樹拝