芥川賞を研究している大学生より

はじめまして。私は日本文学を研究している一介の大学生で、研究テーマは芥川賞です。さて、村上先生は、二回候補に入っておりますが、芥川賞を逃した時、どう思い、何を考えましたでしょうか。丸谷才一氏などは高く先生の腕を買っておられましたが、選考委員たちに何か言いたい言葉などありますでしょうか。村上先生ほどの才能で、開高健や丹羽文雄などがだんまりを決め込んだのは少しおかしいと思います。そして、最後にお願いしたいのが、村上春樹に芥川賞を授けなかったのは日本文学の恥だくらいまでいう村上春樹ファンがおられるようですが、万が一芥川賞をとっていた場合の自分のことと、またそのようなことを言う村上春樹ファンに対して、一言お願い致します。
(喜利彦、男性、19歳、大学生)

文学賞というのはあくまでひとつのかたちに過ぎません。本というのは、ひとつのかたちでありながら、同時にかたちを超えたものです。どちらにより価値があると思いますか? もちろん本の方ですよね。だったらどうして文学賞のことなんて、そんなに問題にするのですか? 書物が必要としているのは読者です。賞じゃありません。もちろん何を研究しようが、それはあなたの自由ですが、ちょっと不思議な気がしたので。

村上春樹拝