話すより書く方がラクな訳

村上さんは、話すことは苦手のようなことを以前にお書きになられていたと思いますが、英語での講演を拝聴して、それは謙遜だと思いました。

私は職業柄、講演をすることがありますが、どうも自信がもてません。そこで、何かアドバイスをいただければ幸いです。
(えてきち、男性、39歳、ファイナンシャル・プランナー)

僕は講演をしなくてはならないとき、英語でも日本語でも同じですが、原稿をそっくり暗記してしまいます。30分くらいの講演なら、原稿を見なくてもしゃべれるようにします。そうしないと駄目なんです。だから手間もかかるし、すごく疲れます。僕が「話すのが苦手だ」というのはそういう意味です。覚えるのは、主に走りながら覚えます。ゆっくりと走るのって、ものを覚えるのに向いているみたいです。それを二週間くらいやって、全部丸暗記します。そして話すときは、人々の目をしっかりと見て話します。ものを書いている方がずっとラクです。ほんとに。

村上春樹拝