マッカラーズを訳してるなんて!

村上さん初めまして。
掲載中の質問の中に、現在マッカラーズを訳しているとのお答えがあり、嬉しくてメールをしてしまいました。
ずっと好きだったのですが邦訳はほぼ絶版で、拙い英語力で原書を読んでいました。
以前の村上さんへの質問シリーズの本の中で、奥様がマッカラーズをお好きだという話があり、嬉しく思ったのを思い出しました。
村上さんの翻訳を機に、彼女の作品がたくさん再版または新訳されると良いなあと思います。
(ことぶき、女性、35歳、主婦)

マッカラーズ、良いですよね。うちの奥さんもマッカラーズが好きですが、もともとは僕が好きで、彼女に教えたんです。日本ではもうひとつまだ知名度がありませんが、もっとポピュラーに読まれて良い人だと思います。ところで、最近評判のドナ・タートさんも南部出身の女性作家で、彼女の『ひそやかな復讐』はマッカラーズの影響をかなり色濃く受けていると僕は思っています。この人、実際に会うと、見かけも相当にマッカラーズが入ってます。小柄で、どことなく神秘的です。

タートさんと南部の話をしていて、フォークナーが戦後間もなく日本に来たときの話をしました。彼は日本人を前にした講演で「あなたがた日本人と私たち(南部人)のあいだには共通点がひとつあります。それはヤンキーに敗北したということです」と言いました。日本人はみんなそれを聞いて腰を抜かした。その話をしたら、タートさんは大笑いして、「そうなのよ。実にそのとおり」と言ってました。南部のことがずいぶん好きみたいです。

村上春樹拝