春樹さん、こんにちは。
私、花屋を開業して10年になります。
経営の勉強もしたことがない中、なんとか、そこそこやってこられたのは春樹さんの本のおかげです。今日は本の中で役立った言葉Best3をお伝えします。第3位
良いニュースは、小さな声で語られるもうだめーと思ったとき、じたばたしながら耳をすませると、いつもどこからかニュースが聞こえてきました。いつも肝に命じています。短いけど、とても大事にしている言葉です。
第2位
お店を始めるときは、道に座って道ゆく人の顔をながめるちょっと原文と変わったかもしれませんが、経営上手なおじさんの台詞にありましたよね! 実践しました!! 良かったです!!!
第1位
優雅に生きることが一番の復習どなたかの引用だったかもしれません。悔しい思いをしたときは、この言葉を胸に優雅に乗り越えてきました。そのうちに、嘘みたいに、悪人は消えていきました。魔法のように。
夢見がちな甘ちゃんひとりっ子の私ですが、お店を運営することで、たくましく、筋力がついてきました。意外と、商売にむいてたようです。
ハードな日もありますが、生きている実感を感じられる楽しい日々です。
きついときは、春樹さんの本が支えです。先のことは分かりませんが、これからもステップを踏み続けます。
お礼もかねて、お伝えさせていただきました。
(リリー、女性、25歳、花屋)
第三位と第二位については、僕はよく覚えていません。そんなこと書きましたっけ? どこに書いたんだろう。思い出せません。すみません。
第一位(「復習」ではなくて「復讐」ですよね)はスコット・フィッツジェラルドのお金持ちの友人、ジェラルド・マーフィーの好きだった言葉です。Living well is the best revenge. もともとはどこかの国の諺だったと思うのですが。何を言われても何をされても、あえて仕返しをしたりはしない。こうやって優雅にぬくぬくと生きていることが、それを見せつけてやることが、いちばんの仕返しになるんだ、と。なかなか懐の深い考え方ですよね。僕は半ば冗談で「金持ち喧嘩せず」と意訳してますが。
店を開く前に、その場所に座って、道行く人々の顔をただじっと眺める。これは文章として書いた覚えはないんですが、僕が商売を始める前に実際にやったことです。土地勘をつかむためには必要な下調べです。通行人の数までかぞえました。それくらいみっちりやらないとお店ってできません。まず綿密に情報を集めること。
でもとにかく、花屋さんの経営がうまくいっておられるようでなによりです。そう聞いて、僕としても嬉しいです。何かのお役に立てたのならそれにまさる喜びはありません。
村上春樹拝