青山から粋なレストランが消えていく

『スプートニクの恋人』のミュウが好きです。南青山のレストランで優雅な動作でワインを愉しむ女性を見ると、いつもミュウのことを思い出します。

ただ、最近彼女を思い出せるような粋なレストランが青山からどんどん消えてます。とても残念です。
ほどよく歴史がありコストパフォーマンスが良く、大人が食事を楽しめるお店がなくなり、かわりに値段が価値以上に高かったり、若い子向けだったり、そもそも美味しくなかったりするお店が増加しています。
村上さんは、かつての庭であった青山の異変についてどう思われますか? 
(たまこ、女性、34歳、ペットシッター)

たしかに青山は、若い人たち向けのお店が増えましたね。ちょっと僕らにはきゃぴきゃぴし過ぎているかも、という感じのお店。料理の味も強めだし。でも裏の方を丹念に探せば、なかなか素敵なお店もあります。このあいだ歩いていてたまたま見つけたお店は、ワインの品揃えもよく、料理もおいしく、値段もリーズナブルで、店員はみんな親切でした。店の名前はここでは教えられませんが(混むと困るから)。すみません。

昔の青山って、自由業の人が多い街だったんですが、最近ではサラリーマンの人たちが中心になりました。僕と安西水丸さんはその昔、青山近辺の飲み屋をあちこちまわっていました。青山方面の人って、青山からほとんど外に出ないんです。具体的にいえば六本木通り、骨董通り、青山通り、外苑西通り、この四本の通りに囲まれたエリアの外側にはまず出ません。なんか村の掟みたいですね。結界が張られているとか。

村上春樹拝