「大学生」と聞くと浮かんでくる僕の風景

『村上さんのところ』を知った時、このような企画を思いつかれる大人の方って素敵だなぁと思いました。

打ちながら不思議な気分です。今、ときめきに近い感情の中にいます。
村上春樹さんの何を一番知りたいだろう、聞きたいだろうと考えてみました。

わたしはもうすぐ大学生になります。

村上春樹さんの、大学生と聞くとあの言葉が浮かんでくる、というのをとても知りたく思います。
よろしければ教えてください。
(はなだ、女性、18歳、高校生)

この企画は僕が思いついて、新潮社の編集者に申し出ました。「またそろそろああいうのやってもいいかな」と。そうですか、僕は素敵な大人の人なんだ。ありがとうございます。

もうすぐ大学生になるんだ。よかったですね。大学生と聞くとあの言葉が浮かんでくる? うーん、そういうのってないなあ。僕は神戸の高校に行っていたんですが、ズボンのポケットにジョン・アップダイクの『ミュージック・スクール』という本を一冊突っ込んで、ほとんど何も持たずに東京の大学に出てきました(荷物は全部先に送ってしまったから)。なんとなくキザですよね。それも英語のペーパーバックだものね。というわけで、大学生と聞くと、まずジョン・アップダイクの『ミュージック・スクール』のことが頭に浮かびます。ずっとあとに、僕の『羊をめぐる冒険』がアメリカで出版されたとき、アップダイクさんがすごく長い好意的な書評を『ニューヨーカー』という雑誌に書いてくれました。「なんだか不思議な巡り合わせだな」と思ったことを覚えています。時間がまわりまわって、ひとつに結びついたみたいな……。そういうことってあるんだ。僕は原則として書評は読まないことにしていますが、さすがにこのアップダイクさんのものは読ませていただきました。

村上春樹拝