優美と思ってくれる人がいるだけで

村上さんにずっとお礼を申し上げたかったので、このサイトができてとても嬉しいです。
私は、1992年に脳出血のために左足が麻痺してしまいました。リハビリをがんばった結果、杖はつかずに歩けるようにはなりました。同じ92年に出版された『国境の南、太陽の西』の島本さんと同じような「左脚をちょっとかき回すような感じ」の歩き方です。当時はかなり落ち込んでいましたが、この本を読んでいたら、その歩き方に対して「綺麗な脚がそんな優美な曲線を描くのを飽きずに眺めていた」という表現があって、その「優美」という言葉に涙がでてきました。

少なくとも小説の世界では、この歩き方を「優美」と思ってくれる人がいるのだと思ったら励まされました。それからはずっと足の麻痺のことで落ち込んだときは島本さんを思い描いて、その言葉を思い出してきました。そうすると生きるのが少し楽になったような気がしました。村上さん本当にありがとうございました。

最近は左膝が痛くなってきたので杖をつくようにしています。杖をつくようになったら、街に出かけてもまわりの人たちがとてもやさしくしてくれます。みんなが幸せを分けてくれているみたいです。人って本質的にやさしいですね。

これからも新刊も過去の作品も読み続けます。このような機会をつくっていただいてありがとうございました。
(みもざ、女性、54歳、主婦)

いつも僕の本を読んでいただいて、ありがとうございます。

小学校の頃ですが、僕と同じクラスに足の悪い女の子がいて、でもいつもとても元気で前向きだったので、その子の足が悪いことをつい忘れてしまうことがよくありました。僕はあの小説を書くときに、その子のことを思い出して書いていました。タイプはぜんぜん違いますし、モデルというわけではありませんが。いろいろとご不自由があるかとは思いますが、これからもチャーミングに生きていってください。

村上春樹拝