イージーリスニング歯科

村上さん、こんにちは。以前も村上さんに相談しましたが、相変わらず職場のBGMに悩まされている毎日です。院長(父)の好みで夏はハワイアン、12月はクリスマスソング、通常時はイージーリスニングのローテーションで、わたしがたまにこっそりしかけるクラシックの室内楽などは「陰気くさい」と替えられてしまいます。実際のところ、どんなジャンルが治療中にリラックスできるのでしょうか。あれから10年経ちましたが、まだ解決できません。こうなったら村上さんにきっちりと曲名やアルバムをリクエストしていただいて、院長にこのメールを見せようと考えています。よろしくお願いします。
(SASSY、女性、49歳、歯科医師)

こんにちは。お元気ですか? 今でも歯科治療に励んでおられるようで何よりです。

私見ですが、あなたのお父さんの選曲はやはりなかなかナイスだと思います。歯科医院のBGMですよね。なんといっても王道はイージーリスニングです。いわゆるエレベーター音楽。パーシー・フェイスとか、レイ・コニフとか、マントヴァーニとか、フランク・チャックスフィールドとか、ポール・モーリアとか、そういう滑らかでひっかかりのない音楽を聴きながら歯科治療を受けていると、まさに至福です……とまでは言いませんが(なにしろ歯科治療ですから)、コルトレーンの「至上の愛」を聞かされながら歯を抜かれるよりは遥かに素晴らしいんじゃないかなあ。お父さんの選曲を尊重してあげてください。

村上春樹拝