優しかった叔父さんがなぜ?

一昨年の4月、就職活動のため東京に行きました。そこで東京に住んでいた叔父とお酒を飲みに行きました。叔父は早稲田大学文学部出身で、村上春樹さんのひとつ上の学年だったかと思います。村上さんの作品では『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が特に好きだと言っていました(私は『ねじまき鳥クロニクル』が好きです)。お互い酔っていましたが別れ際に固く握手を交わしたのを覚えています。叔父はその4か月後に自殺しました。長い間うつ病だったらしいです。私は小さい頃、大抵の大人のことが嫌いでしたがその叔父は数少ない好きな大人でした。謙虚で物知りで子供の立場をいつも尊重してくれる優しい人だったからです。叔父が自殺してしまう前に私に何かできることはなかったのか、ときどき考えて空しい気持ちになることがあります。私は割と楽天的な性格であるためか、自殺を選ぶほどの苦痛がどうしても理解できません。なぜ人は自殺してしまうのでしょうか。村上さんの考えをお聞きしたいです。
(N、男性、23歳、出版)

お気の毒です。ショックであったと思います。うつ病だったんですね。とてもむずかしい病気です。あなたとしてもいろいろと考え込むこともあるでしょうが、いずれにせよ、立場と観点を変え、いろんな角度からものごとを眺めることをお勧めします。そしてなにより大事なのは、あなたがその叔父さんのことをいつまでも覚えていてあげることです。人はなぜ自殺してしまうのか? そればかりは誰にもわかりません。

村上春樹拝