文章の手本を見つけましょう

はじめまして。またこのような読者との対話の場を設けて下さってありがとうございます。
村上春樹さんのファンになって5年ぐらいで、『少年カフカ』や「村上朝日堂」を読んで僕もメールを送りたかったな、と思ってたので嬉しいです。

村上さんに相談したいことは、どうやったら説明や情景描写をわかりやすくできるか、ということです。
僕も村上さんのように小説を書いてみよう、と思っていくつか書いたことがあるのですが、情景描写が面倒くさくなって途中で止めたり強引に書き進んだりしました。
詳しく書きすぎると読む方も書く方もしんどいですし、書かなすぎたらわかりにくいですし、こんなふうに一々さじ加減を考えてるうちに消耗してしまいました。

それと、普段口べたで説明が苦手なせいか、書いてるときも言葉が出てこなかったりしました。
村上さんもエッセイで自分のことを口べただと書いてますが、文章はわかりやすく書かれてますね。説明や情景描写をするときに何か気をつけてらっしゃることや、過去に練習されたことがあるのでしょうか? 
お答え頂ければ幸いです。
それでは、村上さんの今後の活躍をお祈りしております。
(クチベタベター、男性、31歳、派遣社員)

情景描写と心理描写と会話、というのがだいたいにおいて、小説にとっての三要素みたいになります。この三つをどうブレンドしていくかというのが、小説家の腕の見せ所です。スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』が、そういう点において、僕の教科書になりました。この三要素のブレンドに関して言えば、これはもう完璧な小説です。どこを取り上げても、ぴたーっと決まっています。実に見事です。読んでいるだけで勉強になります。あなたも自分にとっての手本をみつけて、熟読玩味されるといいと思います。口べたと文章のうまさは関係ありません。安心してください。

村上春樹拝