ハジメ君への想いがリアルで

こんにちは。以前も質問させて頂いた者です。宜しくお願いします。

さて、周囲の春樹さんファンからよく「数ある村上作品の中からどの作品が好きか」と尋ねられる事が今まで何度かありました。かなり迷いますが『国境の南、太陽の西』と答えています。すると意外というか、珍しいというか、どんなところが? というような空気感が毎回周囲を充します。

なんと言うか、そのような質問をしてくる人の気持ちもわからなくもないのですが(もっと凄い長編や名作があるだろうという意味で)あの空気感、作品全体を貫くハジメ君の過去への想いがリアルで大好きです。今後、『国境の南、太陽の西』にリンクするような作品を書かれる事はありますでしょうか? もし宜しければ1行でも構いませんのでお教え頂ければ嬉しいです。

宜しくお願いします。
(ふな、男性、42歳、会社員)

僕はあの作品を二十年くらい読み返していませんし、筋もおおむね忘れてしまったのですが、それでも不思議な思い入れがあります。出版したときはずいぶん酷評されました。編集者にもあまり気に入ってもらえなかったみたいだし、出版社の中でも悪評ふんぷんであったと聞いています。センチメンタルだとか、後ろ向きだとか、いろんなことを言われました。でも正直言って、僕自身の個人的感情はこの作品にかなりしっかり入っています。そんな悪い作品だとは思っていません。今ではそれなりの固定ファンがついているみたいですが、当時はこっぴどく叩かれました。だからあなたが気に入ってくれると、僕としては(作品のためにも)とても嬉しいです。

村上春樹拝