まずい映画から生まれた名曲

よろしくお願いします。村上さんの作品の中で、ご自分で映画化を望まれているものはありますか? できれば作品名も知りたいです。私は、村上さんの翻訳された『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を希望しますが、じゃあホールデン役は誰が演じるのか? と考えると頭を抱えてしまいます。やっぱり、映画化されない方が、永遠にイメージが壊れなくて望ましいのでしょうか。
(freesia、女性、55歳)

サリンジャーはいっさいの自作の映画化を拒否していましたし、その遺志は著作権を管理するサリンジャー財団にもしっかり受け継がれています。ですから『キャッチャー』の映画化は100パーセントあり得ません。どうしてサリンジャーはそこまで頑なに映画化を拒否したかというと、彼の短編小説「コネティカットのひょこひょこおじさん」から作られた映画『愚かなり我が心』(1949)がとんでも映画だったからです。僕も見ましたが、これは本当にひどかった。あの原作から、なんでこれができるわけ? みたいな感じで。

ただ主題歌の『マイ・フーリッシュ・ハート』はとても美しい曲で、ビル・エヴァンズの名演で今でも聴かれ続けています。あれ、いいですよねえ。まずい映画から生まれた名曲の例のひとつです。

村上春樹拝