海外での人気をどう思われてますか?

村上さん、こんにちは。ドイツからです。村上さんの人気はドイツでも凄いですね。私は、私の母がかつて高校に通学していた時にいつも村上さんと同じ車両に乗り合わせてた、という事から、ただ村上さんひいきだったので、ドイツでもこんなに人気だなんて、最初はひっくり返る思いでした。先日も隣の家族とお茶をした時、その奥さんと村上作品に出てくる音楽の話をし、その家のクリスマスプレゼントにも村上本があったようです。さて、村上さんはご自身の本が翻訳されて、広がって行くのはどういう気持ちですか? 翻訳の方の感性で、雰囲気も変わることもあるでしょう。そして、海外での人気をどう思われてますか? 
お元気で。
(ノエミとサンチョ、女性、33歳、オーケストラ団員)

僕があなたのお母さんと毎日同じ車両に乗り合わせていた? そうですか。きっとあなたのお母さんは遅刻の常習犯だったのでしょうね。無事に更正されましたでしょうか? 

僕が昔ヨーロッパに住んでいたとき(1980年代)は、僕の本なんてまだほとんど影も形もなかったので、まったく気楽なものでした。最近は道を歩いていると声をかけられたりして、「なんなんだ、これは?」と戸惑ってしまうことが多いです。僕自身は同じようなことをやって生きているので、まわりの状況だけが変化すると、なんだか妙な気がします。僕はだいたいにおいてごく普通に生きています。普通の人間ですから。小説家の村上春樹は、僕とはちょっと違う人格の人なんだと思うようにしています。

村上春樹拝